[著者] 根本浩
「いちかばちか」の「いち」と「はち」ってなんの意味?
もし、お子さんから質問された時に、みなさんはきちんと説明できるでしょうか?これは、実際に、小学校の先生が生徒に尋ねられた質問です。
日本語は難しい言語だと、よく言われます。ひらがな、漢字、ローマ字が入り乱れ、方言も多彩、英語すらも日本語化している現在、本当の意味で日本語を使いこなせる人は、確実に少なくなっています。その事に対する危機意識のようなものが、昨今の日本語ブームの要因になっているに違いありません。「言葉なんてとりあえず通じればいいんだ」と思う人もいるかも知れませんが、言葉が無ければ人間は何一つ論理的思考を展開できませんし、些細なコミュニケーションすら、おぼつかなくなるでしょう。我々、日本人にとって日本語は母の懐のようなものであり、それが失われれば、日本人としての誇りや威厳も粉々に砕け散ってしまうでしょう。
日本語が大切なのは大人ばかりではありません。むしろ、まだ言葉を学び始めた、幼子や小学生こそ正しい日本語を学んでいく必要性があります。
子どもの発想は自由です。大人にとっては当たり前の様に使っている日本語が、子どもにとっては不思議の連続であるに違いありません。
そして、子どもたちにとってわからない事を聞けるのは、学校の先生やお父さん、お母さんを始めとする身近な大人たちしかいなのです。子どもたちの日本語教育のためには、我々、大人が、その日本語が何に由来し、どのように変化して現在に至ったのかを知る必要があります。つまり、それが語源を知ることです。また、語源を教えることは、子どもたちが言葉を誤用、誤解することを防ぎ、正しい言葉遣いを覚えることにも繋がります。
本書では、実際にあった子どもたちの家庭や学校での質問を集めて、それに対する語源を示してあります。我々、大人が曖昧に見過ごしていた日本語の意味が、明確になり、知識欲が満たされることと確信しています。
また、子どもたちに語源を説明するための具体的文例も、一つ一つ用意してありますので、大いに活用してください。親御さんや先生から、子どもたちへ語りかける題材としても非常に有効に活用できるはず。大人同士の会話の語源ネタ本としても充分、利用できます。
(はじめに抜粋)
定価:660円(本体600円+税10%)